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建築家トップ > コラム > 第4回 断熱とエネルギー効率 > 断熱とエネルギー効率

第2回 光と風を取り入れる
・・・断熱とエネルギー効率・・・
(有)松尾設計室 松尾和也

今回のテーマは何をはなしていいのか、一瞬迷いました。
エネルギー効率というと内燃機関(エンジン)等でよく使われるような言葉で、「入力したエネルギーに対する出力の割合」というような使われ方をするものです。ただ今回の場合、別にエンジンの効率をはかるわけではないので、前に「断熱」という言葉がついていることからして、冷暖房の出力量に対する家の温まり方(もしくは冷え方)であることが想像できます。

ここでいう冷暖房とは単にエアコンを指すのではなく、全ての冷暖房機器を指すものとします。

最初に冷暖房の出力量(熱量)というのは昔でいうところのカロリー(cal)今ではジュール(J)という単位であらわせます。今回のテーマを言葉通りに受け止めると、何ジュールの熱を発生させる(奪い取る)とどのくらい家が暖かく(涼しく)なるのか?ということになります。

しかしこの「効率」を比較しても正直なんの意味もありません。

なぜなら例えば同じ100ジュールの熱量を発生させるにも灯油ストーブを使うのかエアコンを使うのか?もしくはガスファンヒーターを使うのかによってランニングコスト(光熱費)がまったく異なるからです。

冷暖房のエネルギー源として考えられるのは、電気、都市ガス、プロパンガス、灯油の大きく分けて4つの分類しかありません。

しかし電気の冷暖房器具ひとつとってもエアコン、ストーブ、こたつ・・・とたくさんの種類があり同じエネルギー源でありながら「効率」が違います。
ここでいう効率とは「注ぎ込んだ電力量(ガスならガス)に対する、出てくる熱量」のことです。

では、このようなばらばらな条件の下、どのようにしてこのテーマを考えればよいでしょうか?

一番分かりやすいのは、「1ジュール当たりのランニングコスト(光熱費)」です。
これであればどんな器具を使っていたとしても同じ指標ではかることができます。

ただこれにも問題が無いわけではありません。なぜなら「1ジュール当たりのランニングコスト」以外にも冷暖房機器の性能を比較する項目はたくさんあるからです。例えば

・機器本体の価格
・機器稼動時の作動音
・空気を汚さないか?
・均一に快適な温熱環境が作れるか?
・不快な気流は発生しないか?
・設置はしやすいか、又見栄えは悪くないか?

等、本当にたくさんあります。
これ以上詳しくは下記のページをご覧下さい。
http://www.matsuosekkei.com/2-1.htm

次に断熱性のお話をします。
前述の話ではいかに「1ジュール当たりのランニングコスト」を下げるかまたその上で諸条件のいいものを選ぶか?というお話でした。

今度は逆に同じ熱量があるとしたらどれだけ熱の逃げにくい断熱性を確保するかというお話です。この熱の逃げにくさを現す代表的指標がQ値です。
これも詳しい話は
http://www.matsuosekkei.com/2-1.htm
もしくは
http://www.matsuosekkei.com/2-1A.htm
をご覧下さい。

このQ値も極端な話をすれば床・壁・天井ともウレタンフォームを1メートルの厚みにして、窓が一つも無い建物にすれば、おそらく40坪の家で電球一つでもそれなりに暖かくなるでしょう。

これで「断熱性とエネルギー効率」は完璧です?

しかし、実際問題そんなことが出来ないのは建築のプロでない方でもお分かりになると思います。壁の厚さは常識的に考えると、20cm以内ですし、窓の面積もその家の坪数によってだいたい決まってきます。

結局、断熱性の話も冷暖房の話と同じようになるのですが、「断熱性あたりのイニシャルコスト(建築工事費)」が重要になってきます。ただし断熱性の件でも性能を比較する項目はほかにたくさんあります。
・施工レベルによる差がでにくいのか?
・内部結露発生の可能性の違い
・燃焼したときの有毒ガスの発生の有無及び種類
・断熱性の経年劣化の具合
等が代表的なものです。これもくわしくは
http://www.matsuosekkei.com/2-1A.htmをご覧下さい。

ただ、断熱性ということばをきくと、どうしても壁の断熱材にいってしまいがち
なのですが、実際には家全体の熱損失の1/2〜1/3は壁や屋根に比較すると
ずっと面積の少ない外部サッシから逃げています。

ということは、当然サッシの近くは寒い(暑い)ということにもなっています。
よって断熱とコストのバランスを考えるとまずは開口部の断熱性能を高めてあげることが、熱的にもコスト的にももバランスの良い断熱対策となります。くれぐれもサッシはアルミのシングルサッシなのに、壁はウレタンフォーム100mmなどというようなアンバランスがないように!!

たしかに、さまざまな住宅がありますがだいたい外壁の断熱グレードとサッシの断熱グレードは比例しています。
例えば外壁とサッシにそれぞれ5ランクのランク分けがあるとすると外壁が3ランクならサッシも3ランクといったような具合です。
ただし、大雑把な話ですが、外壁の最低ランクのものでもサッシの最高ランクのものよりは断熱性に優れます。

そのくらいサッシの断熱性というのは外壁に比べると劣ります。

次に今まで「外壁」ということばを何度も使いましたが、この「外壁」という言葉には「外周部の壁」と「屋根」の両方を含んでいました。

国土交通省が定める基準を見ても分かるのですが、同じお金をかけるならば「外周部の壁」の断熱材を多少薄くしても「屋根」の断熱材を厚くする方が効果があります。これはとくに夏の日射を遮るのに効果があります。

最終結論として、「断熱とエネルギー効率」は「住宅を建ててから、解体するまでにかかる全てのコストに対してどれだけ快適な生活をおくれるか?」ということになるのではないでしょうか。

 
 
(有)松尾設計室 http://www.matsuosekkei.com/
 
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