木造住宅には大きく大別して在来工法と2×4工法がありますが、阪神大震災以降在来工法の見直しが急速に行われ2×4工法の優れた点を取り入れた在来工法が多くなりました。
何がどう違うのかは説明を省略しますが、耐震性を高める上で、共通して注意しなければならない点を説明します。
■基礎:換気口をとることにより基礎の断面欠損が生じるため基礎パッキンのほうが丈夫であり、更に基礎に囲まれた面積を40以下にする。布基礎よりもフルベース基礎とし、スラブの配筋を確認する。
■壁:筋交いや耐力壁に囲まれた面積を40u以下にし、各交点となる部分に910以上の耐力上有効な壁を設け柱のみとしない。(直交方向にそれぞれあるのが基本)内壁では大きな地震後を想定し廻縁や巾木を設け壁と天井、壁と床に隙間ができないようにします。
■屋根:瓦よりも彩色スレート板(コロニアル等)・金属板のような軽い材料のほうが地震力及び風圧力に対抗できます。
■大きな開口部(窓等):連続した開口部は耐力上有効な壁の3/4以下に設定し、開口部が多ければ多いほど不安定な建物になりやすい。
■整形でない建物:L型や中庭等を設けた建物では、各々の安全性と全体の安全性の確認を行い、揺れの違いによって起こる補強を十分に行う。力の流れは弱いところに集中して応力が発生します。
■壁と床:壁の強度を高め、床の剛性を高めていくと、その接合部に集中した力がかかります。その接合部を弱くするとフレーム自体のねじれが発生してうまく力を吸収できなくなるので、強度を高めた分接合部に配慮する必要があります。
■土台と基礎の緊結:建物に強度を持たせると地震の際、大きな引抜力がかかります。阪神大震災でも建物は何でもなかったのに基礎から1mほど離れたところに移動した・・・という現象がこれです。ポイントはこの引抜力に対抗する金物(ホールダウン金物等)の十分な検討が必要です。強度をもたせればもたせるほど大きな力が発生します。
■2階壁と1階壁の緊結:在来工法では通し柱が主流でしたが、交点での断面欠損が多いため最近は管柱のみの軸組が多く見られます。ここで注意するのは2階から1階へ力を伝達する帯金物等の適正な配置が必要です。
以上、簡単に耐震性の高い住宅の基本を挙げましたが、知識の乏しい施工業者に頼んだ場合、大きな地震が来る前に必ずその兆候が出てきます。建ててしまってからでは簡単に補強はできないのです。知り合いの工務店に頼む場合等は確認申請を専門に行っている設計事務所ではなく、知識の豊富な設計事務所を別に頼んだほうが実際には安くなります。現在の確認申請ではここまでの安全性は確認しないのですから・・・
意匠だけでなく構造にも関心を持って耐震性の高い木造住宅を提供するのも建築家の役割です。 |