しっかりと造られている建築なら,資源節約の点からもできるだけリフォームして活かしたいものです。その場合,設計図を検討して耐震性にも配慮しながらリフォームのプランをたてなければなりませんが,たいがいのケースでは,元の図面や工事監理の資料や施工写真は残っていないので,耐震性をチェックすることも簡単ではありません。
地方自治体が補助して行っている簡易耐震診断は,外観の目視が基本なので,見えない部分の施工のレベルや腐朽の状態も解らないので,信頼性が高いとは言えませんから,気休め程度にしかなりません。そうすると,実測平面図をつくった上で内部構造を詳細に調査することになりますが,それには数十万円以上の調査費用がかかるため,そこで二の足を踏む方も多いようです。
さらに,リフォーム工事は金額が少ないため,建設業者登録をしていない“にわか施工者”が多いことにも注意していただきたいところです。地元に根付いた信頼できる工務店に頼むのが安心でしょう。
下記は,私のホームページの「随筆集」
http://www.sol.dti.ne.jp/~eguchi/EGUCHI.9.html
の『リフォームブームに危惧』冒頭部分です。ご参考までに。
リフォーム番組が消費者をミスリードしている。
設計者(設計事務所)は設計を依頼されると,予算を考えながらデザインし設計図をまとめる。さらに工務店から見積をとってチェックした後に,注文主と工務店は工事契約を結び,ようやく着工となる。これは新築もリフォームも同じだ。
しかし,テレビではそれらの説明はなく,いきなり解体にかかり,壊しながらデザインを考えたりしている。普通そんなことはありえない。完成するまで工事費が確定しないのでは,注文主は心配でしかたがない。そんなやり方が通用するのは「どんぶり勘定」で契約した場合だけだろう,
登場する“タクミ”と呼ばれる人物は,時にはのこぎりを持ったりして,職人なのか設計者なのか(工務店の人なのか設計事務所の人なのか)わからないことも。これは省略しているというよりも,番組制作者たちが実情を知らないからだろう。同じことは,一部の表層的な『建築家ブーム』をつくっている一般誌の編集者たちにも言えること。
これらの影響か,デザインすることには時間と労力と費用(設計監理報酬)が必要という認識すら持たない依頼主(依頼主候補者?)が訪れてきて困惑したという建築家の話しもちらほら。
後略・・・
写真は2DKの住戸をワンルームにしたマンションリフォームです。 |