粗暴犯罪の増加は、安全神話が永く語り継がれてきた日本においても見過ごしのできない現実となり始めています。 これからセキュリティを導入しようと考えている多くの方に、私の経験から人的セキュリティ(警備保障会社)の原則を知っていただきたいと思います。 人的セキュリティと申しましたが、成熟度の高い人的セキュリティは、必ず機械的セキュリティとの併用になりますので、機械的セキュリティの買取りと違い、月々一定の金額を負担し続けることになります。 このことがセキュリティは保険の役割もあわせ持っているのだと誤解される場合がありますが、セキュリティには原則として保険の役割はありません。 例外として、犯罪や火災被害に遭遇した場合、一定の金額保証をする会社も出始めていますが、過大な金額保証はありませんし、普遍的な契約条件ではありません。 人的セキュリティ(警備保障会社)が利用者からペナルティを課される状況は、犯罪発生によるアラーム発報から20分以内に駆けつけなかった場合というように、見過ごしと受け止められる対応の遅さに対してだけです。(時間の既定は会社間、地域間で格差が有るようです) 宝飾店の侵入窃盗の実際の事件では、犯人が犯行を遂行して逃走するまでの時間は10分以内でした。 ATM機の損壊強奪も後を絶ちません。 犯人が現場に残っている場合のガードマンの対処は、警察への通報は義務付けられていますが、犯人の逮捕権はありませんし、警備会社の既定で取り押さえることはできないことになっています。 火災においても15分は全焼時間と推測されます。 買取りの機械的セキュリティではなおさらです。 原則は自己管理ですから、遠隔地、あるいは出先で異常を知っても、自らが警察への通報や消防署への通報をすることが最良の対応と考えられます。 つまり、事件、事故が起きることを阻止できる機能はセキュリティシステムには無いということです。 しかし、それでもセキュリティ機能を住宅に付加させることは、より一般的になるでしょうし、可能ならばそうすべきだと私は考えます。 セキュリティの付加機能に健康の急変におけるアラームがあります。 これなどは、健常高齢者の独居、あるいは高齢者夫婦の暮らしには欠かせない機能と言えます。 また、犯罪者が本気で侵入する気ならば、アラームは障害にならないのですが、一方で面倒な侵入は避けるのも犯罪者真理です。 阻止ではなく、抑止効果としてのセキュリティの効用があります。 安全を金銭であがなう時代というものは悲しいものがありますが、現在の日本の実情として受け入れる必要があるのでしょう。 対価によってあがなう安全もありますが、近隣の関係によって獲得できる安全も多くあります。 声掛け、挨拶、留守中のお礼としての心使いなど、近隣との関係が濃密ならば不審者の発見も速く、隣近所の住民の目が犯罪の抑止効果となります。 良き日本人の生活慣習とコミュニティの健全な成り立ちが犯罪抑止に役立つことも再認識しましょう。