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建築家トップ > コラム > 第12回 セキュリティー > コートハウスでの実践

第12回 セキュリティー
・・・コートハウスでの実践・・・
木口 盛世  一級建築士事務所 KYMプロデュース

初めてクライアントの家に訪れたときに、玄関先に自転車の前カゴに安全パトロールのスッテカーがありました。一般市民の自衛の一環で今や各地で実施されているのはご存知とおりです。今回の以来物件は、東京都江戸川区の住居地域でセキュリティー面でも当初からより設計テーマのひとつとして考慮しなければならないところでした。

打合せを重ねてプランニング案をパターン別に3つほど提出しました。そしてコートハウス案で進めていくことになり、先ずは全体の住宅としてのまとめ、住宅設備等をまとめましたが、この案でのセキュリティーをどのように行うか迷うところです。コ字型のコートハウス案では外部空間の一部が有機的に内部
空間とのつながりを有し、これを普段の生活面で切断するような計画は好ましくありません。中庭に面する開口はできるだけ大きく安易に開放できるようにし、都市生活者として夜でも。(クライアントの就寝時刻は夜中のAM2時。)各開口部にシャッターを設置することは、避けなければなりませんでした。セ
キュリティーと住宅内部の開放は今回の設計テーマでは相反することになりました。

実際に行ったこと(中庭:パティオ廻り)図面参照
1:隣地境界線上にヒノキ材縦格子の高さ2mの塀(人が乗る強度はありません。)
2:防火スチール電動シャッター高さ2.2m(上部BOXまでは高さ3m)
  窓に設置したのではなく、塀より50cm後退させての設置。
3:開口部窓ガラスに防犯用ビニールシートがサンドイッチされた仕様。
4:中庭に照明の設置。
(準防火地域でもあり、隣地に近い開口部は防火戸仕様にしなければなりません。この空間に対しては窓に網入ガラスを使いたくなく、視線的にできるだけ透明ガラスのみで空間の分断をしました。シャッターの設置した位置は防火戸としても今回の空間の取りまとめにも有効になっています。
 

図面


昼間はシャッターを開け、夜または旅行などの長期外出時には閉める。昼の外出では塀と窓ガラスがセキュリティー面を果たす。一つ一つの機能の防犯性は高いとはいえませんが、3つ重ねることで高まったといえます。また、住まい方ではヒノキ材縦格子塀も加え今回のコートハウスでの中庭空間及びつながる内部空間を、十分に楽しめる計画となりました。

一つの実例をもとにセキュリティーというテーマを住宅設計でどのようにして果たしたか述べましたが、各々の住まい方、家があるように、またはロケーションによってもそれぞれ違います。一つの方を有効にし、もう一つを無効にすること無く住宅の設計を行えるように心がけていきたいと思っています。

 
 
一級建築士事務所 KYMプロデュース http://www.geocities.jp/kymkiguchi/
 
 
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