石・ガラス・陶器などを使った防水、そして装飾
ガウディの破砕仕上げが求めた物
ガウディはオリジナルについて“奇異を求めず、日常の事を改善するのがよい”としている。
ガウディが利用するトレンカディスは単に装飾的な意味で利用してはいない。しかもそれがボールトの屋根や天井においては、その曲面の防水加工が必要となる。
もともとタイルを貼るというのは、水仕舞いとして利用されるので、防水機能を持たせるために利用される。トルコ風呂やローマ浴場でもモザイク・タイルが利用されていることから伝統的な素材とも言える。ローマのカラカラ浴場のモザイク・タイルは良く知られている。グラナダのアルハンブラ宮殿の浴場にもタイルが貼られている。
そういえば日本でも昔の銭湯の浴槽は、15mmから30mm程度のサイズの正方形のモザイク・タイルで仕上げられていた記憶がある。
浴槽の丸みを付けた縁も同じようにモザイク・タイルが張られていた。ところが既成の平面タイル仕上げにすると、曲面の曲率にもよるが通常は面が凸凹になってしまうので防水加工には不適当となる。
そこで面に合わせた仕上げ材としてできるだけ曲面を滑らか処理するために“破砕張り”にすることを考えたということになる。
その破砕仕上げでは、特に煙突部分では石、タイル、ガラス・ビン、陶器の皿までもガウディは採用して防水性を高めていた。
さらにそのタイルの釉薬面はガラス面となるために、場所によっては光りの反射もその特性として利用されている。
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