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  建築家トップ > バルセロナ便り > 第52回
実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディの最高傑作カサ・ミラは
研究テーマとするのを躊躇わせた

ガウディは芸術について、“全ての芸術作品は魅力(世界観があり、すでに理解者や予言者全てをひきつけている)があるはずである。オリジナルを求める時、魅力の特性を忘れると、芸術的作品にはならなくなる”と述べている。

バルセロナ市役所は路上駐車で儲けようという狙いなのだろう。十数年前というより1992年のバルセロナ・オリンピックを境にして、ようやく路面駐車のためのパーキング・メーターも取り付けられた。それほど路面駐車が多いのである。
パセオ・デ・グラシアとプロベンサ通りの交差する角地に建てられたガウディの最高傑作カサ・ミラは、近代建築の先駆として立ち上がり、当時としてはスキャンダラスな建物であったことは、多くのマスコミまでが騒いだことが裏付けている。
例えば
1909年1月に週刊誌Cu-Cutでの風刺画
1911年“El Papitu” でのハコボ(Jacobo)の挿絵
1912年1月4日にはL´Esquella de Torratxa”という出版物に、風刺家ホセ・コスタ(Jose Costa)がこのカサ・ミラを“未来のバルセロナ”というタイトルで、飛行船などで建築の窓から内部に入れるように描いている。しかも屋根裏階のファサードにはミラ家の孫達のガレージというレタリングのされた画を描いているのもなかなか皮肉というか未来を示唆した風刺画になっている。
1925年パトゥフェ(En Patufet)の中でのホワン・ガルシア・フンセダ(Juan Garcia Junceda)の挿絵を見ると絵の下に以下のような文がカタラン語で添えてある。
−私はみんな気に入っているが賃貸マンションの借り手が少ない。
−どうしてだろう?
−なぜならバルコニーでこの芸術的な手摺りを利用するのは私以外には無理だ。

まだ他に当時のコミックでも登場している。

それほど庶民に関心が持たれた作品であるが、従来の建築概念を超越したような作品であり、伝統建築の雛形には納まらない。

私がカサ・バトリョの実測体験と作図を済ませると、このカサ・ミラを次の研究テーマとして考え始めた。しかし、いきなりこのカサ・ミラにチャレンジすることは躊躇い(ためらい)があった。

真夏のさなか、決心が付かないまま、熱いバルセロナの日差しを浴びながら語学学校からグエル公園の階段の実測に戻って作業を続けていた。
夢中になっていた私には、他に楽しみといえば語学学校で授業を終えてから仲間達とバーでお話しに興じることや、タスカスという酒も好きではない自分を知りながら、酒屋街に繰り出すことくらいだった。勿論毎日のことではないが、お酒が飲みたいというより、雰囲気が楽しかったのである。
しかもお酒を飲むというよりも、地元スペインのワインやサングリアによる飲み会といった感じである。
つまみは、というとこれもさっぱりして美味しい魚介類である。中でも鰯やエビの塩焼き、小イワシ酢漬け、プルポ・ガジェーゴという茹で蛸に唐辛子とオリーブ油がかかったもの、ムール貝の酒蒸し、アサリのマリネ、他にパタタブラバというポテトに辛いマヨネーズ、オリーブの塩漬けも美味しい。そしてハブーゴというスペイン最高級の生ハムなどもつまみの対象となる。
特にこの生ハムは、最近になってコレステロール値を下げてくれる作用があるということも知られるようになった。

   
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