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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

運営管理に文化活動も考慮した組織作り

2009年6月30日、エル・カプリチョに出かける。

バルセロナを早朝に発ってサンタンデール空港に着くと、エル・カプリチョのオーナー武人さんが迎えに来てくれていた。その足でまっすぐエル・カプリチョに行く。
空港からは高速道路を使って45分程で到着する。途中サンタンデールの街やアルタミラで知られているサンティジャナ・デル・マルも通らずにすむようになった。
カンタブリア海の海に面したゴルフ場のそばにあるホテル・ロバシアに立ち寄って荷物を降ろし、そのまま現地に向かう。
ホテルには、ソブレジャーノ宮殿で展示パフォーマンスの為に招待されている書家浜野龍峰さんと同時通訳翻訳家鈴木重子さんそして文化活動のコーディネーター マリ・カルメンが待機していた。彼らと合流して展示会場・発表会の場となる宮殿に向かう。
その前にエル・カプリチョに立ち寄って関係者達に挨拶をする。
昼の食事をエル・カプリチョですませる。
前から気にかけていたトイレの状態を見る。
鏡や床は内部の湿気によって濡れていた。
まるでミストサウナのようになっていた。
空気の抜け場所がないのか、塗装したばかりの天井にはカビが出はじめ、塗装の剥離もしている。しかも厨房では機械室が内部にある為に、その騒音がいまだに激しく、従業員の精神衛生上よくない。

これらの改良計画をするには南面にある、既に亀裂のテラスの修理も併せての大工事となる。勿論予算も塗装程度の予算ではない。さらに敷地内の3000uの舗装工事や造園計画も残っている。
まだ残されている改築工事に対する予算を考えると途方に暮れる。
少なくとてもトイレと厨房を整備しなくてはならない。

ガウディの作品であることも気にかけかけながら、事業計画として運営管理をしなくてはならない。

飲食業というのは人の出入りが鍵となる。
それらの流動性を考慮した企画が文化活動であり、定期的なプログラムとして人の流れを良くしようとする計画である。これには地域への呼びかけと合わせて飲食の中身も改良する必要がある。
この修復計画では、勤続20年のシェフ ヘススをレストランの取締役として総合責任者に昇格させ、全体の管理を任せる事にした。
文化活動の方はエル・カプリチョ文化社会サークルとして法人化した。
今後はこの組織を通して展示会や講演会、シンポジウム、演奏会、などの文化活動ができる。しかも自治体と共に定期的な文化活動プログラムを作ることもでき、さらに国際的な文化交流の場として利用される。

エル・カプリチョの北西の角にある玄関から西へ徒歩で1分、コミージャス侯爵小礼拝堂がある。この中にガウディがデザインしたベンチ、懺悔室、懺悔椅子などがある。さらに隣にはコミージャス侯爵邸(ソブレジャーノ宮殿)がある。
この宮殿前方にはカンタブリア神学校が見える。

この学校は、エル・カプリチョの現場を管理していたガウディの建築学部時代の同級生である、クリストバル・カスカンテがエル・カプリチョと合わせてカンタブリア神学校もみていたことから、建築的に共通する納まりもあることが解った。

   
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