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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディの建築から日本の幼稚園へ

2002年にはガウディ生誕150年祭がバルセロナで盛大に行われた。 そこでバルセロナ近郊の、古都として保存されているジローナ市にある州立美術館が私の作図展をしたいという。「ガウディのインク」と言うタイトルで、29点のオリジナル・コピーによる展示会を1ヶ月間開催することになった。
別の街としてガウディの生まれ故郷リウドムス町でも記念講演会に招待され、私の「ガウディ建築実測と作図の世界」を説明させてもらった。
以来リウドムス町とは面白い関係となり、2007年にはリウドムス町が設立したガウディ財団本部の竣工に合わせて、ジローナで行った作図展の縮尺コピーの常設展示場まで設置された。しかもガウディ150周年としての記念広場計画−街はずれの小さなアルブレ広場を利用しての拡張計画を依頼してきた。
これは2007年に、町挙げての盛大なオープニング・セレモニーとなった。
その為にこの広場に桜を寄贈してくれた大阪の造園家武部さんを中心としたグループと、私の実家の家族や友人達も日本からかけつけてくれた。
このガウディ生誕150周年記念というのは、カタルニア地方だけでも150以上の講演会や展示会などの行事が行われた。
派手な年であった事を想い出させてくれる。

同年にテレサ学院の尼僧クリスティーナ・マルティネースという人が鋸朶の神父帽子を再建したというニュースを目にした。
これでようやく本来のテレサ学院の姿に戻ったと思った。これでオリジナルにも戻されたと思ったのだが、しかしまだ再建されずに残されている部分があったことに気がついた。トリビューンの上部にあるサンタ・テレサ会のセラミックによる紋章である。
現在あるものは内戦後に修復されているが、オリジナルではそこにも「ソロ・ディオス・パッサ」という記銘文があった。それは再生されないままになっていた。作為的に再生しなかったのかそれとも予算がなかったのか。いずれにしても学院の問題なのでそれ以上立ち入ることはできない。

テレサ学院の自然の形と幾何学、その調和による整然とした内部空間は何度見ても飽きない。規律、モラル、自由な教育空間という目的において、共存を促すような空間というのはこういうことをしめすのだろうか。

私はこれまでの経験を生かす実際の建築計画として、2年前から東京の府中で幼稚園計画を進めてきている。そして今年の10月末にはその地鎮祭までが予定されている。
この計画の中で最も大切なのは、幼稚園児の生活や活動内容を教えてくれた園長先生の「想い出となる幼稚園であってほしい」という希望。次に「幼稚園児ができるだけ怪我をしないような丸みのある空間であってほしい」ということからこの幼稚園計画をスタートさせた。
しかし予算には限度があり、部分によってはそれなりの素材ということになる。
この建築の中でもっとも大切なのは予算よりもオーナーのアイデンティティーを演出する意匠、内外部空間の機能、構造である。それさえしっかりしていれば他の問題は時間と共に解決してくれると思っている。

     
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