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建築家トップ > バルセロナ便り > 第225回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディは職人達の指揮者

ガウディとベルゴスの会話では、塀について
のっぺりした水平の壁は完成していない。鋸歯型パラペットが必要で防御であるが、軍事的な意味ではない
と述べている。
これはグエル公園の鋸朶を示唆する言葉とも言える。それらの壁も鋸朶も曲面体となっている。
破砕タイルで想い出したが、ギリシャ・ローマ時代にもすでにモザイク・タイルはあった。ガウディのモザイク・タイルは単なる四角い破砕タイルということではなくリサイクルされた素材による破砕タイルで展開される。これはカタルニア地方では「トレンカディス」と呼ばれている手法である。そのタイルに限らず廃材を利用したところにガウディの応用がある。
平滑な面ではその破砕タイルは貼らず、普通のタイルでも良い。
ガウディによる破砕タイルが貼られている面というのは、躯体が平滑ではなく曲面体であったりする。そこに適切なタイル仕上げをするには特注するか、もしくはどうしても普通のタイルを利用するという事になれば、破砕にして貼付けるしか方法がない。そこでガウディは職人さん達に毎日のように仕事の終わりには自宅の廻りで見つけたタイルの廃材を集めるように指示していたというのだ。
それをガウディの協力者で彩色主義の建築家ホセ・マリア・ジュジョールに配色を任せてデザインまで管理させていた。
廃材は色別に分けられ、適切なサイズに割られた。
ジュジョールのコラージュ的センスは彼自身の作品であるカサ・ネグラでも見られるが、ガウディの作品の中ではグエル公園の多柱室の天井で彼の巧が披露され、しかも彼のサインまでが入れられている。ガウディ本人に確認をとっての事かどうかは知られていないが、この辺りは抽象的なサインというより石工のようなサインにも似ているので、専門知識が無いと見分けがつきにくい。
ガウディの彩色は全体的に淡い彩色である。学生時代からの課題による水彩画をはじめとして、カサ・バトリョの彩色でも青を基調とした彩色が建築機能に合わせて合理化されている。
ところがジュジョールの彩色は、ところ構わずのコラージュで個性任せの色彩となり、専門家によっては「シュールな作品」であるとさえ評価されることもある。
そのシュールさがガウディの作品の中で反映されることで、ガウディの作品までがシュールだと評価する人もいる。それに関しては、あくまでもガウディは協力者達の芸術性を尊重して作品に組み合わせているのであって、ガウディ自身がシュールな人なのだという見方は誤解を生じる事になる。
オーケストラの指揮者はある程度の楽器を弾きこなせるとも言うが、専門家ではない。単に全体を構成することができる才能をもった指揮者であると言う解釈で私はガウディを見ている。その意味では彫刻もしかりであり、ガウディは石工人ではないし自ら石を削ったわけでもない。彫刻の模型を石膏で作ったり、デッサンをしたりする事ぐらいはしていた。日本の浮世絵師も絵師と彫師に分けられて一体となって作品が紹介されるのと同様である。

そのようにして作品というのは各専門職の人達の素晴らしい調和の元に建築作品が作られていたのである。
     
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