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建築家トップ > バルセロナ便り > 第248回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

偏屈で頑固で、傲慢な人だったのか?

測り続けて作図の世界を38年間つづけてきた。
最近ではスペイン語の原書も読めるようになったので、10年ほど前からガウディの日記や伝記を片っ端から日本語に翻訳しつづけてきた。
そうすることで作図の裏付けもとれるようになる事に気がついたが、それだけではなく装飾的な部分にはガウディの気持ちがあることにも気がつく。
つまり、装飾についてのガウディの日記に「美しさについて」−装飾的な部分を削除することで本来の美しさがあるとしている。
つまりシンプルな形が彼の求めている美しさとなる。

そこでガウディの建築をみると、どの建築に装飾的な部分があるのか気になる。彼の美しさの概念からすると、それらの装飾的な部分は装飾としてではなく他の意味があるということになる。
建築において考えられる要素として建築機能や構造の一部として考えれば、それは装飾としての概念ではなく必要不可欠な要素となる事でガウディの求める芸術性にまでつながる。
つまり芸術性の高い建築作品を計画するような姿勢であった事にも気がつく。
確かに模倣時代のガウディの作品では装飾的な意味合いと言うよりもオーナーのアイデンティティーを演出しようとした、例えばグエル別邸やエル・カプリチョ、カサ・ビセンス、テレサ女学院などの計画が挙げられる。
次に折衷時代の1900年までの作品としてグエル邸、アストルガ司教区館、カサ・ロス・ボティーネス等は装飾的な部分はさらに建築的な機能としても応用される。
そして1900年以降の作品となるカサ・カルベ、カサ-バトリョ、カサ・ミラ、コロニア・グエル教会地下聖堂、グエル公園ではさらに抽象化されたアイデンティティーの演出を建築に反映させ、サグラダ・ファミリア教会ではガウディの建築家としての43年間の総まとめが随所に見られる。
このサグラダ・ファミリア教会がガウディの希求する「理想のゴシック建築」という事であれば、これらのこの教会の継承者達はガウディ以上の創造性と技能を駆使した方法を選択しなくてはならないという解釈にもなる。
とすれば、建築計画の進め方もガウディの思想を継承するという意味では今までの建築スタイルをも超越するような技術と素材なども採用されるような計画になることを示唆しているのではないだろうか。
ガウディの卓越した職人達への指導は、さらにそれまでの技能や表現を進化させるようなアドバイスが毎日のようされ、その回答を毎朝のように準備されていたということを職人達の会話で示されているところもある。
つまりガウディの工事現場における管理指導は、職人達とのワークショップ的なスタンスで共同作業として作品の進化を探求していた事にもなると言いえる。

ガウディは偏屈で頑固で、さらに傲慢な人であるとすれば職人達からは慕われる事もなかったはずだし、建設的な意見を職人達との間で交わされる事もなく、使い心地の悪い建築になっていたはずである。建築作品も作家の作品であるとすればその気持ちが形になって反映されるということは、手工芸の世界の形と共通すると思えるからである。
     
田中裕也氏プロフィール
 
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