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建築家トップ > バルセロナ便り > 第280回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディ・コード

北スペインのカスティージャ・レオン地方にレオンという街がある。
アウグスト大帝により、紀元前41年に築かれた街である。
現在では人口126,192人のレオン地方の首都となっている。
この街には素晴らしいサン・マルコという大きな国民宿舎(パラドール)がある。
以前にもレオンの街を訪れて、このお城のような国民宿舎を何度か利用したことがある。各部屋もかなり大きなスペースになっている。
この宿から徒歩で20分ぐらい歩くとレオンのカテドラル。
この大聖堂もバルセロナの大聖堂とは比較にならないほどの大きさ。
ステンドグラスも大きく教会の周囲の広場もゆったりとしている。
現在、ここはスペインの議会の中心地とされている程に政治活動が活発な街になっている。
Juan Hom Botionesという事業家がカタルニア地方のCardonaという町からカルリスタによる紛争を避けるようにして、このレオンに移住した。彼は金融業を始めるが、既にグエルとの交友もあったことからガウディとのコンタクトを得てこのレオンの街に1891年にCasa de los Botinesという半地下階を含めた7階建ての建物を計画することになる。ネオゴシック様式とされているが、もちろんガウディのエッセンスが詰まった建物になっている。どちらかというとフランスゴシック風にも見える。
数年前からEspañol-Duero財団が所有者として管理し、現在では美術館として利用されている。今年の10月にこの財団から「ガウディの原図が見つかったのでその作図を見て欲しい」という連絡を受けて現地を訪ねた。
見せていただいた作図は、ガウディの自筆のサインが入った立面図と平面図の2枚であった。私は王立ガウディ研究室に在籍していた頃、そのコピーを既に見ていた。実は他にも建具や塔の詳細図もあることを私は知っていたが彼らはその存在を知らなかった。
私はバルセロナに戻ってから画像に撮ったガウディのオリジナル作図の詳細分析をしてみた。
確実に以前の自分とは作図の見方が違っていることに気がつく。これも40年の間に実測作図を繰り返すことで、さらに独自の分析手法が身についたのだろうと思える。
ガウディの原画に食らいつくように詳細を見る。すると私はある種の身震いがしていた。
というのも、私が博士論文を発表した1992年以来、ガウディ建築にはコードがあるということに気がつき、その方法でこの原画にもそれを見つけることができると思い調べていたのである。
結果的にはなんと4つほどのコードがあることに気がついた。これも私の発見ということになるのだろうが所有者にその発見があったことを報告した。
私はバルセロナに戻ってからさらにそれらのコードを分析していた。するとさらに40項目ほどに膨れ上がった。その最中に、カサボティネスの美術館のディレクターがバルセロナにある私のアトリエに訪ねてきた。
目的は私の作図原画を見たいということ、さらにそのコードを知りたいということであった。
まず私の作図集を見せてから最後にコードの一部を紹介した。
他はさらに詳細を詰めて分析をしてまとめてから発表する手段を検討することにした。場合によっては、この作品がガウディの建築美学の原点になるのではないだろうかという洞察も薄らと見えるような気がしている。

     
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