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建築家トップ > バルセロナ便り > 第346回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る


サグラダ・ファミリア教会とガウディ建築の関係

グエル公園の実測を始めた頃は十字架の丘も訪ねてはバルセロナの景色を楽しんでいた。
その人工的な組積空積みのような台形状の形は、バレアール諸島のメノルカ島に多く見られるタライヨッ(talayot)という古代からの遺跡に類似する。まさに台形になっているのがそれはエジプト時代のピラミッド以前のジグラットから始まる構築物にも類似する。タライヨッは紀元前1500年代とされていることから古代ギリシャのミケーネ時代とされる。
およそ底辺の直径が30mほどで壁厚が4m高さが5mほどである。
基本的には矩形と円形のものによる。
その頃のタライヨッは見晴台とされていたとしているが、外敵の監視を目的にしていたもの。または夏至とか冬至を示す暦を設定するための道具とも見られることから巨石文化の類として見られている。
グエル公園での方位を設定しているのは中央入口のパビリオンの立体十字架とされている。これも竣工した当時の写真から、方位を設定させてのことであることはバセゴダ教授が示唆していた。
コロニア・グエル地下聖堂も同様である。教会建設はその方位を設定しての計画であることは世界的に共通する建築計画の基礎である。
つまり太陽の出入りは生活に関わることから、日射の環境設定は欠かすことができないのである。ガウディ建築においてもその基本的な日照に関しての配慮を欠かすことができなかった。どの建物もその建物に対する自然光の配慮というのは重要であるということだ。
その方位に従ってサグラダ・ファミリア教会の方位性を意識した門を設定した。東側は日の出の方位と合わせて生命の誕生を示す誕生の門、日没の方位を受難の門とし、南中時は南の方位に合わせて栄光の門ということでそこが中央門にしている。
実際にはバルセロナの都市計画は19世紀の半ばに拡張地区から始まり、現在のグリット状の都市に変貌するのだ。そのグリットは地中海に向かって平行に設定されていることから、建物方位もそれに従って方位は45度ずれている。つまり北が南東にずれているということになる。
グリット状に拡張地区が形成されていることからサグラダ・ファミリア教会は中央祭壇の向きが北西の方向に向き中央入口となる栄光の門は南東となる。

一方グエル公園の中央入口は南東向きであるが十字架の丘だけは東西に向けている。これはこの十字架の丘が南西方向に向いていることからサグラダ・ファミリア教会の方向に向いているということも理解できる。確かにカサ・バトリョもカサ・ミラもサグラダ・ファミリア教会方向に30度方向に向いていることが確認できるがまさかグエル公園でもそのような場所があったということは今まで知られていなかった。これでガウディの成熟期の代表的な作品が彼の理想のゴシック建築教会に向かって計画されていたことを示唆することが理解できる。この十字架の丘はガウディの最後の作品になるが、この3つの十字架が地中海に向かってどんなメッセージを演出したのだろうか。さらに強調されていることが見えてきた。
     
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