400坪のゆったりした地に建物は計画された。地上1階・延床面積170uの木造住宅である。
この住宅は祖母+息子夫婦家族の5人家族に用意された。
まず目に飛び込んでくるのが、弧を描き空に向かって反り返った屋根である。
日本では昔のお寺・神社に弧を描いた屋根が多い。
昔…コンピュータがない時代…
そのような弧を描いた屋根形状は、一番高い地点と低い地点をロープで結び、垂れ下がったロープの形で決めていたと言われている。
正に先人の素晴らしい知恵だ。
そんな日本古来の伝統をこの建築に託したいと想い、現代的な手法で再現しようと考えた。
外部は耐久性・機能性・デザイン性を兼ね持つガルバリウム鋼板で包んだ。シンプルで真っ白な建築だ。
内部天井は北側からゆっくりと南側に向かって外部屋根と同じ勾配でそそり上がり、終点で5mになる。
その5m地点の南側には太陽の光をたっぷりと採り入れられる大開口を用意した。
一方、真っ暗になりがちな北側…主寝室・子供室にはそれぞれ中庭を用意し、同じく南から光を採り入れている。
中庭には風も採り入れるためのダイナミックかつシンボリックな大きな丸い開口を開け、この建築の重要なファクターにもなっている。
またこの中庭はそれぞれ…リビングに続く和室、洗面脱衣室・浴室にも面し、建物全体のつながりにとても重要な役割を果たしている。
日本では20110311の東日本大震災が起きたことでエネルギーの問題が問われている。
この建物の基礎の下にはパネルヒーターが敷きこまれてあり、寒い時期には深夜の安い電力を使い暖房を行う。
夜に暖められてできたヒーターの熱は地中の土と基礎コンクリートに蓄熱され昼夜に関わらず冬の暖房に使用される。
そして建物全体が暖められることで、移動時におけるヒートショック等の危険を緩和している。 |