その頃、私達は設計コンペに明け暮れていました。
その頃とは当工房を開設した当初という意味です。
なぜコンペばかり出していたのかといいますと、単純に仕事の依頼がなかったから。です。
そんな折、尋常じゃないコンペ提出数をご覧頂いた方から建築に対する熱意を買われ、住宅の設計依頼が舞い込みました。
そう、これがその設計事例です。
最初に連れて行かれたのが、10年来希望されていて、漸く
手に入れられた土地でした。
前面の広い池に向かって開放された土地。それはそれは気持ちの良い土地でした。
そのシチュエーションを満喫しつつ、少し違った池の見せ方も
盛り込みつつ、という感じでプランは出来上がっていきました。
外部との繋がりが内部空間に多大な影響を及ぼすことを、この
住宅で実感しました。
格子のモチーフは、京都で生まれ育った経験から、内外を完全
に分断するでもなく、プライバシーを守りつつ外部に開くとい
う機能が優れていることから、デザイン要素の一つとして用い
始めました。
池の対岸から見る、この住宅の姿もまた好きなシーンです。
中からの眺め。外からの眺め。どちらも大切にしています。 |