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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

2つの困難を克服するために、実測を選択

実施と創造においてガウディは“ものの実現は創造の法則(これ無しには存続がなく成立もしない)に従うことであり、そのためには創造を裏付ける経験が不可欠である”という。
 
 
スリの被害が覚悟を決めさせた
 

現実は火を見るより明らかに違った。
日本で想像していた海外での生活の中で、少なくとも自転車旅行の時のような野宿はできないと考え、宿には予め日本から3ヶ月分の部屋代を払い込んでいた。バルセロナに到着後、宿に荷物を預けて換金する為にテルミノ駅へ出かけた。そこで、横浜からナハトカへの船の中で知り合った、シベリア鉄道に乗り込む前の日本人兄弟大喜多さんと偶然に再会した。これも何かの縁と思いバルセロナ市内の案内は私が引き受けて、繁華街のランブラス通りの中を通った。そこは珍しいキオスクが立ち並ぶところである。街路地に入る為には横断歩道で立ち止まって信号待ちをしなくてはならなかった。ゴシック地区街を散歩しようと思って横断歩道で信号待ちをしていた矢先におかしなそぶりの人が私の傍を横切った。その瞬間に不吉な予感が私の脳裏を駆けめぐった。
噂に聞いていたスリの事を想い出しポケットに仕舞っていた全財産の確認をしてみた。冷や汗がドッと出た。あの噂のスリの被害者が自分にも回ってきたのかと思って何度となくサファリーコートのポケット全部を確認してみた。気が動転したように血が頭に遡る思いを感じながらさらにポケットを確認した。無駄な動作と気が付いて、あわてて周囲を見回すと山手に向かって走り抜けていくあのスリと思われる人の駈けている姿が見えた。がすでに時遅しであった。
がっくりと肩の力が抜けるような気分になっていたところで、同行していた大喜多さん兄弟は私の事情を察してお金を貸してくださった。
正に“救いの神”と言ったところである。
以来その恩は忘れたことがない。
この事件で私は、この街に何かの因果関係があるのだろうと思い、数十倍の価値のものを取り戻してみせる、といったそれまでになかった執念に燃え上がった。ここで海外生活の心がけと意志が明確になった。

 
言葉のハンディを乗り越えるために
 
ガウディ
他にも現実的な言葉のハンディがあった。少しの英語で少しずつ日常会話を身につければ心配はいらないと思ったがそれは甘すぎた。研究しようとする場所が英語圏ではなくスペイン語圏であることから、スペイン語が解らなければ生活も文献を読むことすらもできない。しかもカタルニアはスペインの中でもカタルニア語を日常会話とするバイリンガルの地方でもある。
そんな条件下で、たどたどしい英語では研究が続けられるわけもないという現実を前にして、どうしても力が抜けるような気がしていた。しかし学問は身を助けてくれるものである。学生時代に習った実測と実社会における現場での実測の経験から、実測の手段でなら言葉のハンディ無しで私にもできる。直接作品に触れながらの肉体労働による研究なら、できる可能性はあると思っていた。しかも、作図をすればより建築空間の内容が理解できる、という判断で作業を進めることにした。
しかし対象物は難解なガウディ建築の実測である。あまりにも曲線が建物を支配しているわけだから、どこからどのように実測して作図するのか予想がつかなかったのも事実であった。初めは実測と作図の完成を予定しないで、できるところまででよしと自分に言い聞かせた。勿論そのころの無心になっていた自分にとって、時間は眼中になかった。

次にどの部分なら抵抗無く実測ができて、しかも作図ができるのかと検討するためにグエル公園を散歩した。そこにはさりげなく木陰に見え隠れしている沢山の階段がある。その一部くらいなら間違いなく実測できると思って、もっともシンプルな階段の実測をすることにした。これなら縦を繋げる機能だけの部分として、殆ど飾り気のない建築空間だから実測ぐらいならできるだろうと思って測り始めた。しかも単に計るのではなくて、それぞれ特徴となる部分のスケッチを最初に描き、その一枚のスケッチに寸法を入れることで、立体的な寸法も把握できると同時にデッサンの練習にもなると思った。
さらに実測箇所の写真も撮ることで、作図を始める場合に寸法の計り忘れなども写真から検討できるとも思い、デッサン、実測、写真撮影の3つの作業の順序を厳守して現場での作業を開始し、宿に戻ってはその整理に集中した。

ところが測り終えた今だから言えることなのだろうけども、15ヘクタールの敷地にある三十数カ所の種類の違う階段を、膨大な時間をかけて全て計ることになってしまった。

そうこうしている内に語学の問題も切実になってきた。

 
田中裕也氏プロフィール
 
 
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