サグラダ・ファミリア教会「受難の門」の建設に従事した建築家-プーチ・ボアダが1929年に執筆した“サグラダ・ファミリア教会”、さらにガウディ研究家で建築家-セサール・マルティネールによる1967年に執筆された“ガウディ、生涯、理論、作品”の中でサグラダ・ファミリア教会の“幻の鐘”について記されているが、実際には音響問題について触れているのであって“幻の鐘”とはどこにも言ってない。これはミステリーが沢山残っている未完の鐘ということで私が勝手に付けた呼び名である。
鐘の形は“双曲面体”と記されている。
見方によってはオーボエ系のカタルニア民族楽器“グラジャ”にも似ている。
要するにラッパ状の形であるが、通常のラッパのように端が開き中間では逆に細すぎて、打楽器用の鐘にはならない。
そこでガウディの“幻の鐘のプロポーション”を検討するにあたっては、当時の模型室の写真からその鐘の姿が微かにみえるので、それからの形とプロポーションを想定することにした。
早朝は騒音も少なく空気も澄んでいる。この状態の中で聞くコンセプション教会の鐘が、もっともガウディが望んでいた音色であった。
しかもその鐘の音量は、サグラダ・ファミリア教会からグエル公園のガウディの家のところまで聞こえる程であった。
さらにマルティネールはガウディにとって、鐘の音によるメランコリーは、夕暮れ時で その日の終わりとブロンズの音のハーモニーが夕暮れ時にもっとも印象的となる“といっている。 |