鐘楼内部に取り付けられる鐘の音は、反射板と鐘楼の二重構造によって下部の消音室で音が少々減衰し、外部に対してはほぼ水平に反射音が広がるはずである。
マチアの塔とベルナベの塔は334段で最上階となるので、一段の蹴上が0.21mであるから70.14mの高さに達していることになる。しかし塔の尖塔部分はまだ続く。
この後は一般の立ち入り禁止場所であり最後の尖塔部分である指輪(アニージョ)の部分に達するには10m以上の垂直でしかも直径1mくらいの円筒の中に納まっている約30cmピッチのタラップをよじ登っていかなくてはならない。真っ直ぐな円筒であるから息が詰まりそうにもなるので昇るには勇気が必要である。
垂直タラップをよじ登る作業は非常に重力を感じてしんどい。最上部にある指輪の穴は地上からだと90mとなる。
その開口部に漸く辿り着いた記念に指輪の穴から下界を覗いて写真を撮り、実測作業を手早く済ませて鐘楼の最上部にあるブリッジまで降りて胸をなで下ろす。
当時はこれ以上高い建物が周囲にはなかったのでバルセロナでは自慢の象徴的建築としてそびえ立っていた。
ところが1992年のバルセロナ・オリンピックを境に地域開発と新たなホテルや超高層ビルも建ち始めた。中でも海岸周辺のポブラ・ナウ地区は以前からあった工場地区で、市と州政府の力で買収され選手村として変貌させることで地域の改善が始まった。
しかもサグラダ・ファミリア教会から東側のマリーナ通りを真っすぐ進んだ地中海沿岸には、アメリカの建築集団SOMによりゲートのようにも見える超高層ビルのホテルと隣の保険会社とのツインビルが建設された。
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