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  建築家トップ > バルセロナ便り > 第14回
実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディ建築の実測は、世界遺産の実測に繋がった

ガウディは “全ての芸術作品には魅力があるはずである。しかしオリジナルを探す時、魅力の特性を忘れ、芸術的作品にはならなくなることがある。”と言っている。
 

バルセロナは、地域開発によって短期間に一大事業を成し遂げ、更に拍車がかかったように市街の激しい変貌は続く。
今でもその地域開発事業は進行中であり、市内でもっとも大きなディアゴナル通り(バルセロナ市の街を対角線上に横切る道路)も、ついに地中海沿岸にまで延びてしまった。
現在その大通りの先端には、文化フォーラムのパビリオンがスイスの建築家達によって建設され、周囲の250 haはテーマ・パーク的な地域開発がなされ、“こけら落とし”として2004年の5月9日から9月26日まで約141日間の国際文化フォーラムが予定されている。そのために世界の都市がそれぞれの文化紹介をすることになっている。
更にその周辺も開発事業が進められ、特にサン・アドレス地区は将来新幹線のアベが停まる駅として、その周囲には既に新たな建物が次々と建設中である。また路面電車も復活して、この地域開発の主要アクセス手段となる。

他にも、フランス建築家ジャン・ヌーベルにより、サグラダ・ファミリア教会とツインビルの真ん中に、放物回転体による“氷の塔”のような水道局のガラス張り超高層ビルが計画されている。サグラダ・ファミリア教会に対峙するこれらのモダンな超高層ビルによって、新たな時代の到来を示唆しているかのようである。

バルセロナでの国際博覧会は、1888年から始まり1929年は第二回目の万博が行われた。現在でも当時の会場は見本市会場として利用されている。その後1992年のバルセロナ・オリンピックを経験し、2002年はガウディ生誕150周年と国際的な文化活動を経験している。
さらに毎年の見本市などの恒例行事もあり、人の出入りの激しさを感じる。フォーラム2004というタイトルのもと、工場地帯の地域開発は高さに制限がないと思える程にどの建物も超高層となり、しかも凄い威勢で海岸地区を埋めはじめている。
地域開発の空き地はパブリック・スペースとしての広場が設けられているが、従来のスケール感覚からかけ離れたような気がするほどである。しかも散歩するという距離感覚ではなく、移動手段を電車や車に頼らなければならないほど、ブロックごとの距離があまりにも大きいように思える。
そんな時代の変貌を鐘楼から眺める時に、何時終わるか解らないサグラダ・ファミリア教会と自分の研究を振り返りながら、何に役立つものなのか考えさせられる。


 
ITの時代にアナログを貫く
 

時代の移り変わりに当惑しながら歴史の中を覗く研究は、益々現代というIT時代の流れに乗り遅れていくような錯覚に陥る事も当然である。
その中で自分の研究作業をどのように維持するかが重要である。
私は、ガウディ建築の実測から単にデザインの応用性を学び取ろうとしていたのだが、今では世界の建築遺産であるクスコの開口部やマチュピチュの開口部とインティワタナ、サクサイユワマンの城塞と入り口階段部、オジャイタンボの階段部分、パチャマルクの日干し煉瓦、メキシコのオルメカの巨石像、キアウイツランのピラミッドの階段、センポアラのピラミッドの階段などの現場にも出かける機会を得て実測している。

時々人々からどこに勤めているのかと尋ねられるがその度に、個人研究として続けていることでフーテンのような立場であるという感覚になり、とても不思議に感じるのも事実である。

 
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