寸法の在処と他のモニュメントと比較することで更に時代を遡ることになる。
この作業も創作への応用性という概念に繋がるものなのかと問いかけながら、当時の寸法の使われ方とモデュールの推定から建築のボリュームが見えるような気がしてならない。まさにデジタルの世界からアナログな世界を覗けることに面白いほどの好奇心が沸騰する。同時に歴史的背景の裏付けを求めるために参考文献を調べることで、更に今まで知られていなかったマヤとインカ文明の建築の謎にも直接触れる機会を得た。当時の臨場感をも感じ、プリミティーブな創造性を感じる。
創作の基本が“経験”とすれば歴史の中を覗くことも素晴らしい経験と創造性に繋がり、モニュメントの調査も経験の応用性として見ることができる。そのシミュレーションができればこれ以上の幸せはない。
測ることで空間の大きさが具体的になる。
しかも他の作品との比較も容易にしてくれる。
亡霊に取り付かれたように歴史上の建築を追いかけ、次第にガウディ建築から離れた世界にも踏み込むようになる。だがそれは横道に逸れているのではない。
終局的には建築のルーツに溯ることで、用途が副産物を生み出すかのように建築に影響するだけのことであると思えるようになる。
そんな未知の世界に入り込みながら、さらに当時の建築状況が見えてくるというのも面白い世界である。
そのお陰で、ガウディの実測調査による経験が他のモニュメントにでも利用することができると実感し、新たなデーターと視点が生まれることも経験する。
珍しい建築詳細も知ることができることは、今まで以上にリッチな建築知識を得られるという好奇心を蘇らせる。
中でもインカ文明の「高度な建築技術と、文字がないとされていた文化とのギャップの謎」も含めた研究テーマもライフ・ワークの中に舞い込んでくる。
それらを追求するために、始めに建築を分析しながら当時の建築技術と生活レベル、都市の変遷等を比較する。さらに人類学的分析も同時に進めることで言葉と生活空間の二面で当時の状況を洞察する。
この手法も実測から学び得た収穫の一つである。
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