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フィンカグエルのドラゴン |
1992年までの実測調査の整理は、ドクター・コースに反映さるためにカタルニア工科大学バルセロナ建築学部の6階にあった、広々としたガウディ研究室で孤独にその作業を進めていた。
この工房は私にとって唯一心のよりどころとして利用させてもらっていた。
外の街並みと背後の山に落ちる日没のシーンはその日の天気によって空を染める色が変わる。青空に点在している雲に日没の真っ赤な陽が雲を刺し、薄暗くなっている青空に溶け込むような、サンライト・ビームが何とも派手なオレンジと黄色の“スパニッシュカラー”とでも言えそうな景色を作り出す。それを毎日眺めることができた。
この工房で進めていた、毎日同じような寸法を相手にしたデーター処理。作業の後の疲れを癒してくれるのがこの夕焼けである。
時々そんな景色を観賞している合間に大学の教授達が私の作業を見学に来ることもあった。最初の頃は、何を話しかけられているのか解らなかったが、それでも私の作図作業が彼等にとって珍しい事であったことには違いなかった。
次第にこの作業が私自身のライフ・ワークとして板に付くようになる。
午前中は実測と大学の研究室でのデーター整理、食事の後も続いてその作図を継続し、夕方には自宅に戻って語学とまた作図を進める。 |