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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

始まりはグエル公園

バルセロナには大きな公園としてシウダデラ公園、モンジュイック、ティビダボ、オルタ、トゥロ公園、コルセロラ、ペドラルベス、ディアゴナル・マル、そしてグエル公園がある。
この中で田園都市計画として考えられた公園はグエル公園だけである。
私が最初にガウディ建築の実測をはじめようとしたときの、ウオーミング・アップの場であったことについては第2回目でお話をしたが、さらに付け加えるように生活状況も加えて説明する。

当時、私は公園の階段に座って地中海を眺めるのを日課としはじめた。しかも公園内を散歩しながら「何をすれば研究ができるのか」と考えているようで考えず、ただ公園の様子を見ているだけの日々がしばらく続いた。
実際にはスペイン語も理解できなかったので、それ以上の手段は思い当たらなかった。
だからといって写真では経費がかかるし、そんな予算などはなかったし写真の腕は普通以下である。手ぶれは起きるし構図は傾く。写真家達が撮るような映像にはならないと自分に言い聞かせた。
それでも不思議に改めて撮った一連の写真の中に「フム」と言わせるような写真を数枚見つける事もあった。しかし写真家になりたくて写真を撮っているのではなく、資料としての写真なら許せるかとして何度も同じところを見てまわっていた。
そこであることに気がつく。
それはいつも腰掛ける階段であった。
高いところを上がる為の機能をもつ手段、ときには腰かけにもなる。
機能や形は複雑ではなく単なる上下の空間を連絡する為の機能である。
最近では動く階段エスカレーターが登場しているのでそれは除外するとして、基本的に誰がデザインしようとその機能は変わらないのだ。
この固定された上下空間を連絡するための階段を眺めたり腰掛けたりしているうちに「ちょっと測ってみる気」が起きた。 
これなら私でも測れると思ったからである。
そしてその測るところをスケッチし、そこに寸法を入れてみるという作業をはじめた。
これならスケッチの練習にもなるし、併せてガウディ建築の一部は測る事ができると思った。
グエル公園では草むらに見え隠れする階段もあるので、それも測ってみる。
次第に一日でスケッチによって測れる階段のボリュームが見えて来た。
たしか学生時代に実測調査のことを「サーベイ」といっていた。懐かしい言葉である。大学の卒業論文で新宿のサーベイをしたことがあるが、まさにその縮小版を独りで、しかもグエル公園の中ではじめた。それでこの程度の実測なら続けることができそうだと思いはじめた。これなら経費もかからないし、スケッチの練習にもなる。しかもガウディ建築を測って体験できるというチャンスが得られると思いはじめた。 
これが良い意味での「人生の落とし穴」に自ら落ちる事になる。最初の実測をアパートに持ち帰り再度、そのスケッチのページをめくってみる。
言葉も、経済的な援助も限度があって思うような研究となり得るのかどうか不安ではあった。しかし自分に残されている研究手段はこれしかないと思いはじめた。
そこで「背水の陣」と言うことわざを想い出した。ことわざも覚えられるほどの記憶は持ちあわせていないはずがそんな言葉を想い出すのだから不思議と言えば不思議である。そんな思いをきっかけに「私のバルセロナ物語」のはじまりとなる。
スペイン語もカタルニア語もわからず、海外で建築研究するという口実で日本を飛び出してしまった以上は、ただでは戻れないということは覚悟していた。
別に無理はしていない。その場での対応に専念しようと思い毎日を楽しむ様にした。しかし現実にはあても無く、生活の保証も無く、どのように研究するのかも殆ど考えていなかったに等しい。そんな無防備な状態でグエル公園での実測・作図作業がスタートしたのである。
今思うともっとも野性的で自然にも思える行動である。

     
田中裕也氏プロフィール
 
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