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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

グエル公園の剽軽者にモデルは?

ガウディはカテナリーについて
重力は放射線状の引張り(平行ではない)であり、圧縮されたカテナリーは、地球の中心に向かって閉じている。逆にカテナリーは天に向かって無限に開いている。カテナリーは二つからなる。一つは閉じてもう一つは無限に開く。 これは楕円の接点(閉鎖)が双曲線(開放)に変遷している」。
としている。

重力に従った形についてのコメントであるが、これも自然主義を唱える建築家の言葉として随所に建築に反映されている。

たとえば煉瓦の耐力は、石と同じような特性から日本では組石造として分類されているが、スペインでの伝統的な煉瓦はさらに幕構造としても利用されていた。
ガウディはその伝統工法をさらに彫塑的に、しかも有機的な放物双曲体によって建築形態をデザインしている。その手法は従来に見られなかった建築形態であり、しかも近代建築の創始者とも言われているル・コルビジェにも大きな影響を与えたことは知られている。この構造が耐久性も含めて、建築の内部空間をも幾何学で合理的に保護できるようになっている。

コルビジェ自身も 本−「ガウディ」(バルセロナ1958年)を執筆し、そのサグラダ・ファミリア教会付属小学校のデッサンまで残していることからもわかるように、この構造体が「近代建築の元祖」とも言えるほどに高い関心を寄せていた。
ガウディの考えていたシェル構造は、柱・梁・天井などの構造体が一体化されている。それはまるで卵の殻のような空間である。骨の形にもみられるように、荷重を全体に分散できるような形ともなっている。重力によって作られる力の配分によって、柔らかいうちに骨の形にも似た形をなす。つまり自然形成がなされるということなる。そのせいか、動物の骨は直線となる面は一つもなく捻れている。これも重力による「自然の巧」ともいえる。そのようなエコなあり方をガウディは真剣に建築コンセプトとして考えていたと言うことになる。

例えばグエル公園のベンチとその前に広がっているギリシャ劇場広場では、雨水をその広場で受けてフィルター役になっていることは既に記している。このようにしてエコロジックのシステムと地域の神話を交えたアイデンティティーが、建築作品に反映されている。
中でもビジターの人気者となっているカラフルな噴水も、非常に剽軽(ひょうきん)な架空の動物になっているのはその代表作である。このオブジェを単なる装飾としてみるか、それとも建築機能として理解するかは見る側の判断となる。

そこで、この動物を観察するにも単なる思いつきのマンガチックなイメージでオブジェをデザインしたものか、それとも身近にみられる実際の動物をモチーフとしてデザインしたのだろうかと考える。ガウディは自然主義の建築家であることから、自然のモチーフを建築随所に利用し、さらにコミカルな抽象化をすることもある。

ではこの動物のモデルのルーツはということになる。
ガウディのウイットで動物のデザインをしたのであれば、その具体的な動物達の観察もまた面白い学習となる。

     
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