建築家トップ
 

建築家トップ > バルセロナ便り > 第212回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

それは装飾なのか?機能なのか?

ガウディの日記では、装飾について
はじめの特性は目的に応じて美しくするためであり、使用目的によって素材を選ぶことで解決するならば、特質、まとめ、最良の解決方法、利用方法、物理的な条件の特徴に従って適切な選択をすることである。分類や整理によって雑多にすることではない
と記している。
これはガウディ美学の一面であるとしてみるとどうだろうか。
私は素材の利用方法というのは、それぞれの場所や目的に沿って適切な利用方法を考えなくてはならないという事を学生時代のゼミで聞いた記憶がある。それは法隆寺の焼け跡を修復計画した竹島卓一先生による話しであった。先生はさらに奈良で西岡常一さんの作業現場でゼミをしてくれて、彼等の話を聞いた事がある。素晴らしい経験であった。彼等の話しは私の心の中で今でも新鮮に生き続けている。しかもその話しは非常にナチュラルで、素材の利用に関する話は、私が現在研究を続けているガウディにまで共通することに驚いている。偶然の一致とはいえ、「建築真理の追求」をするとどこかで全てが共通するということになるのだと思った。若くしてガウディは、装飾において素材の利用方法で、同じようにその本質を説明している。さらに彼の芸術性はシンプル化される。つまり素材自体の特性を良く吟味し、使用目的、場所を設定する事で本来の美しさや優雅さを作り出すという美学である。
装飾というのは物を美しくする為の手段である。決して雑多にすることではない。とすれば使用方法によっては、素材が美しくするための装飾的役目もしてくれるという解釈になる。
この説明をしながら私の脳裏ではカサ・バトリョのファサードを想い描いている。この建物は一見装飾的なもので覆われているという風に見てしまいがちであり、私もはじめはその仲間でもあった。ところが年月を経て研究を続けているうちにその場の空気を感じる事で次第に装飾的ではない事に気がつく。
つまり環境や地域がもたらす美や芸術の概念が根本的に他とは異なるということである。その場の習慣、物語、社会、気候、風土、建築様式等も含めた総合の中から産まれる美学というのが、ガウディの作品に演出されている事に気がつきはじめる。
そしてその世界に精通した師匠達の言葉の中に、自然との対話よる言葉が形となったり彼等の芸術に演出されたりしているのである。
このカサ・バトリョはその代表的な作品ということを、1990年に立面図を描いた時に感じた。
しかも装飾的であって装飾ではない、抽象的な表現による建築機能として役立つように素材を利用しているということも理解しはじめた。

つまり、素材独自が持っている特性を理解することで、自然にその利用方法が見えてくるという事である。
     
田中裕也氏プロフィール
 
田中裕也氏へのメッセージ、 感想、お仕事の依頼等何でもどうぞ。
 

←第211回へ

第213回へ→
 
建築家登録と変更   免責事項   利用規約   プライバシーポリシー   会社案内   お問い合わせ
ブライト・ウェイの生活支援ポータルサイト
こそだて」「建築家
 
copyright(c) Bright Way Co.,Ltd.All Rights Reserved.