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建築家トップ > バルセロナ便り > 第259回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

汚職や暴力よりも、文化・芸術・科学に目を

ガウディは北国を研究者や科学者を育てる地域だと評価している。
反面南国の人達をアートに秀でた人達とし、さらに化け物までも作れるとしている。つまり気候風土に合わせて生活体系が異なることから、職種も変わるということを示唆しているのだ。
ガウディの生まれ育ったバイシ・カンプ地域は、地中海性気候であり、温暖なところである。このようなところにいると何もしなくても生きていけると思うかもしれないだろうが、そうとはいえない。それなりに多くの雑多な民族もその地域に集中する。
現在はアフリカ難民までもが戦争の絶えない国からユーロッパへ避難している。その窓口がスペイン、イタリア、ギリシャからトルコにまで至っている。ヨーロッパ共同体としてもその受け入れに難色を示し始めている。

ガウディ当時は産業革命後の時代に置かれ、仕事のスタイルが、手工芸から工業製品化に移行する時代であった。その社会現象変化の中で資本家ブルジョワと労働者の間に対立が生じ始める。労働者達は立ち上がり、労働組合を設立させてさらに大きな戦争や社会紛争に市民を巻き込むようになり、現在に至る。資本家と労働者の対立、そして政治が介入して泥沼状態になっている国さえもある。
さらにそれにつけこんで政治家は汚職や脱税などで目に余るほどの出来事を巻き起こしている。スペインのニュースでは、その汚職に関係する政治家達の名前が毎日のように挙げられる。その額は、数百万円の単位ではなく数千億円の額で訴えられている。
政治の世界で扱う額の違いを感じさせられる。それでいて国にはお金がないとして市民を困らせている。この矛盾をどのように理解しろというのだろうか。

ガウディの時代には労働者問題を扱う社会主義が蔓延して、極派のアナーキズムが現れ、市民や歴史的建造物を標的にしていた。
現在では世界的にテロ組織が無差別に社会を脅かしているが、暴力行為ではどこか似ているのではないかとさえ思う。
そのため、武器製造は絶えることなく未だに続いている。

つまり人の欲望というのは底知れぬ永遠性を示している。それに対峙した平和も永遠の目標として表裏一体となっていると言える。
そんな混沌とした時代のど真ん中で、ガウディの建築は作られていたのである。

現在ではそれに代わる社会的混乱が政治社会レベルで続き、権力争いという形で相互に中傷しあってその権利を勝ち取ろうとしている。全く醜い争いがニュースのネタになっている。
そんな政治を誰が支持できるのだろうか。
それよりも政治家が中心となって、文化、科学、芸術などの未来を考えてほしいと思う。それらの活動に力を注いだ方が未来への希望は高まるだろう。

混沌とした世の中で若者たちの意欲はどことなく削がれているのも現実である。人は情報が多すぎても処理できない。選択肢が多すぎるというのも原因なのかもしれないから、それも良し悪しである。
     
田中裕也氏プロフィール
 
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