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建築家トップ > バルセロナ便り > 第271回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

「はかる」ことで疑問という硬い氷を溶かす

カサ・バトリョのファサードを見ると、強烈にそのインパクトを与えていることに気がつく。ガウディは、サグラダ・ファミリア教会の誕生の門の基礎の立ち上がりから始まりゴシック・アーチの分の詳細に取り掛かっていた最中となる。丁度、このころはガウディの成熟期であり、創造豊かな時期でもあった。その時期の作風を見ると、建築を見ているのかまたは彫刻を見ているのか、または化石化された何かのステージを見ているかのようで、愕然と心を奪われてしまうような部分となっていることに気がつく。
私の場合は、「すごい彫刻群」となっているという印象であった。学生時代に見たこの誕生の門で、私は建築家としての志を放棄しよう思ったことを何度も想い出すほど異常な抵抗感があって、しかも建築やアートに対する認識不足と創作性の欠如を実感させられたことはなかった。愕然として日本に戻ったものの、自分の進路で途方に暮れながらも「建築家への靄(もや)のような思い」だけが残り、あの学生時代の疑心暗鬼な、舳先だけを向けて無風状態の中で潮の流れに沿って流されているような気分でもあった。その後の実社会での体験と疑問により、さらに自分の進路を変えることになって、自力で流れの方向を変える。そして辿り着いたところが今の自分となっている。
時間の流れに沿った経験と学習によって、それまでの疑問に思っていた氷のようなものが徐々に溶け始め、中にあるものが見えるようなってきたと思っている。
この疑問というのはとても固い氷のようなものであり、「はかる」という知識を得ることで少しずつ温められ溶け始めるという表現がふわしいと思えるようになった。つまり疑問は氷、それを溶かす方法は「はかる」ことであり、その知恵と知識によって溶け始めるという自らの方程式として比喩している。
人それぞれにその方程式が異なるはずである。
そこで自分の方程式つまり「論理」に従う。すると初めてみたとき、「装飾」としてだけの理解で実測をして作図をしたときには、まだ装飾としての固定概念からその論理の部分を削除していたことを想い出す。

バルコニーの形、一階中央ファサードで見られる二本の柱、そして2階のギロチン窓、左脇に立っている小塔と立体十字とそれを支える若干潰れかけたような玉ねぎのようなまたはニンニクの塊のようなボールト、しかも屋根には鱗状の瓦と関節のような棟瓦、その脇にある放物曲線上の孔。そしてファサード中央上部の窓にはなぜか2つのバルコニーが無い。壁面をよく観察すると中央の壁面縦三箇所には緩やかな膨らみという波をつけている。さらにその壁面には約8種類のサイズの丸い皿があり、それぞれに色が異なっている。普通であれば誰もが見過ごす部分でもあるし誰もが数えることもしない。そしてそれ以上の意味が見出せないままでいるのである。これらの詳細は建築様式としての範疇ではない。しかも単なるアートとして理解するにはあまりにも作為的であり「疑問の氷」となっている部分である。この氷を溶かすため最初の作図から「その氷」を溶かすのにさらに私は10年以上の歳月をかけてしまった。そして新たに自分なりの実測による成果として1990年にこの立面図を描くことになった。
     
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