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建築家トップ > バルセロナ便り > 第277回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

鐘の役割と発する音の波長が与える影響

その昔から時を知らせてくれるのが、人々が集まるところ。それが地域の祭事を司るお寺であったりする。お寺というのは世界的にも同じ行為をしている。人が集まるところは生活の規則性を設定し、それに沿った祭事が行われる。その一つが、説教やミサであったり、祭事、冠婚葬祭であったりする。
その度に鐘によって知らされる。
ガウディはベルゴスとの会話の中で
「ギリシャ時代の大杯やブロンズの壷は、ロウ抜き(cera  perdida)による型から抜き取る時、金鎚で叩き割って心地良い音がしていた。そのようにして鐘が作られた。ポンペイの近くのカンパニーにおいて、ノラのパウリーノ司教が初めの鐘を利用したとされているが、そこはギリシャの伝統が息づいているところであった」
として説明している。

アフリカでは人々は木を木で叩いたりして、時を知らせたり踊りをしたりしている場面のドキュメンタリーを見かけることがある。
そんなプリミ(原始的)な習慣が生活の中で音と合わせて踊られることもある。
それにはリズムが伴い音楽や踊りとなる。プリミな人間に限らず動物の行為だということでみるとなんとなく儀式的な行為であるようにも見える。
出会い、別れ、戦い、祭、そして冠婚葬祭に関わる住民の重要な営みに対する知らせとなる。さらに人間社会においては、暦や時計も現れ、それぞれの地域習慣に合わせての知らせに鐘を鳴らすというのが定着してきた。
それを聞くと嫌な人もいるだろうが、場合によってそれで助かる人もいる。
つまり生活には欠かすことができない聴覚的サインという存在であるということになる。
現在でも早朝、6時くらいから15分、30分、1時間と時を知らせてくれる。
さらに、昼食時、終業、防災時のメッセージと鳴らされる。
それに従って人々の生活に規則性が生まれ生活習慣となっている。宗教というのは、その中で住民をまとめる一手段として地域に発生する。

生活のために生まれた鐘が教会に設置される。しかもその音色が従来のような音ではない。音源地のサグラダ・ファミリア教会の鐘楼ではかなり高い音であり、その音が2500mまで届く音域を持つことが考えられていた。とすればそのパワーをそばで聞くとHutchison効果のような現象も起きそうな気がする。
電磁波でもこの効果の存在が確認されているということは音波の場合はより視覚的な現象も認識できるようになるのかもしれない。
つまりサグラダ・ファミリア教会についている彫刻群や装飾群はそのまましっかりと固定していられるだろうかという問題も起きそうな気もする。
地震や嵐などによる風圧による水平力だけでない不規則な方向からの振動と高周波による力が発生することになる。
振動が定期的に与えられると地域のストレスになり得る。
その波長によっては健康的な波長もあれば凶暴な害となる波長もある。

これらの波長はすべての生命体や物質に振動を与えるのでそれによる影響や効果がどうあるべきかという検証も必要になる。つまり音響効果と生活の関係とそのバランスが必要であるということになる。
     
田中裕也氏プロフィール
 
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