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建築家トップ > バルセロナ便り > 第292回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

視覚のトリックを応用して自然に見せる

先日、久しぶりにグエル公園を見学した。日本からやって来た理数系の高校生達による建築を含めた実測演習ということで、現場に立ち会った。
午前中の作業では久しぶりに地中海の水平線も見ることができた。いつものように多柱室から鮮明に。観光客で賑わっていたので、人が少なくなった瞬間を捉えて携帯で写真を撮る。

腰壁のレベルと水平線がほぼ一致するラインがあるのである。さらに多柱室の腰壁のラインが縦ラインと横ラインでも異なることから、山側からの傾斜が土塁として水切りとなっていることを示唆しているのも確認した。
また基本的には山側の奥にある柱の腰壁が最も高く、多柱室前列の柱の腰壁が1.5mと一番低くなっていることがわかる。
この多柱室前列の柱の位置から奥の柱の腰壁の高さが水平になって見えていることから一見自然に見えるが、実際にはとても不自然であることも理解できる。
つまり前列の柱から奥の柱までの距離は36mであるから、遠近法からすると視覚的に奥の腰壁は低く見えるはずだが実際にはそうはなっていないのである。
建築空間での遠近法を利用した空間トリックはルネッサンス時代のパラディオでも代表されているように、実はギリシャ時代の建築でもそのように遠近法のトリックで自然に見えるような細工を施している。
そこでガウディもこのグエル公園で、遠近法のトリックとして視覚の矯正を利用していることが伺える。

サグラダ・ファミリア教会誕生の門における彫刻群も、実はそれぞれが置かれる場所に応じてサイズを調整している。人体で見ると一番小さいものは、慈悲の門、つまり中央入口の柱の上部にあるマリアに抱かれた赤子のキリストである。一方で鐘楼の中間に見られるテラスの下にある12使徒達の彫刻がもっとも大きなサイズとなっている。
見る位置に応じて彫刻群のサイズが調整されているわけで、どれもが自然に見られるようにガウディが計ったのである。その調整には、外部では、視点から30度の範囲でそれぞれの彫刻群を調整し、内部では60度という角度を利用していることを、ジョルディ・ベルゴスとの会話で言い残している。

にもかかわらずガウディが亡くなってからは、そのあたりの遠近法の調整に関しては無視された彫刻群が設置されていることが伺われる。自然主義の建築とはどんな意味を示すのだろうか。構造的に自然主義を応用する方法とさらに視覚的に自然に見えるというのもまた自然主義の手段ということになる。つまり飾られる彫刻群も含めて自然のサイズや自然の形に見せることで、視覚的に違和感を抱くことのないようにするためには空間やオブジェへの配慮が必要であることを示唆しているのである。 現代建築にはそのような拘りを除外した建築の演出も多く、芸術的な配慮による場面がないという表現が正しいのかもしれない。

機械的で無機質な空間とミニマム空間だけが主流になっている現代という表現になってしまうことがむしろ違和感があるがどうだろうか。
     
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