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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディの作品は時代を反映したオリジナルか、進化する文化の一部か

ガウディは“カントの三段論法は、もっとも非論理的である<<私は疑う、そして私は存在する>>、もっともな論理は<<私は疑い、私は無視する>>”と言っている。

エジプト建築の柱頭をはじめとしてスフィンクスまで、当時の代表的な植物パピルスが、偶像を演出した建造物やモニュメントの詳細部に利用され、ギリシャ商人達の冒険から彼等による科学と幾何学が建築に施され海を渡る。
その行為は神話となり、神殿にまで祀られるという考えは全くの間違いともいえない。

社会が建築に反映され、時代のヒーロー達は何らかの形で地域のモニュメントとされて祀られる事は、日本でも神社に祀られる神々にも類似する。時代に立派な足跡を残しえた人達であったり、それが地域の建造物に祀られることで栄華の永遠の願いが施されることもある。
その意味では、文化と社会そして建築はそれらが反映される媒体と言うこともいえるだろう。

このようにフィンカ・グエルのモチーフは、単なる歴史的建造物の模倣ではなく、むしろ地域性を考慮したアイデンティーの演出からモチーフが想定されたのであり、それが自然要素であることも疑う余地はない。伝統的要素も時代に応じて少しずつ姿が変わることも自然のことである。

ガウディの作品は時代を反映したオリジナルか、進化する文化の一部かところで、オリジナル性とは何を示すのか。
無から創造されたものがオリジナルとすれば、それは正に自然界にしかありえない。
自然界で創造されたその後の動植物も、タンパク質から生まれて進化し続けている。しかし、これから何千年後には果たして動植物が存在しうるかどうかも疑問である。
それは宇宙レベルの視点からはそんな疑問があってもおかしくないほど、地球での出来事は大宇宙空間の中では一瞬のことで、いつかは自然淘汰で消えつつあるという。

その一瞬の中で、文明が生まれてきている。
時代に応じた素材として氷河、石器、青銅、鉄、金銀、鋼鉄そしてダイヤモンド、今日ではレーザーの手段が日常の道具となっている。
これまでのホモサピエンスが壁画を描き始めるようになってから約25000年の進化が見られたことになっているが、ではこれからの25000年はどうなるのか。現在と同じスピードで進化し続けるのかそれとも後退するのか。
いや、後退するのは経済であっても、文化や科学は自然の一部であり限りなく進化し続ける。

このようにしてオリジナルの概念は、独創的であり日常生活から生まれる配慮から出来上がるものとすれば、日常品の殆どは石器時代に作られたものの応用にしか過ぎないというのはあまりにも大げさだろうか。

つまり人々の営みが衣食住というサイクルに従っている以上はそれからはみ出すことは不可能であるはずだ。
既に人間が生活の営みを始めたところでオリジナルは作られ、その上に人々は時代に応じたものを改良して現在に至っているということになる。
オリジナルに時代の付加価値をつけることもオリジナルと言う考えもありえるはずである。なぜなら今のものは昔の人々には想像できなかった。
とすれば現代でオリジナルに値するものとは何か。

   
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