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建築家トップ > バルセロナ便り > 第306回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディの時代にもあったパンデミック

昨年の十二月頃からスペインにいつものようにインフルエンザがやってきているという。今回は今年の二月から本格的にコロナ・ビールス(COVID.19) という名前で世界に広がるパンデミックとして呼ばれるようになった。
私は医者ではないがこのビールスに興味があり私になりに調べてみた。
実際にはすでに70年に発見されたビールスとのことで今に始まったことでもなく、いつも同じような20世紀初頭の爆弾のような足が沢山付いたビールスである。
この足(Glicoproteína)を取ってしまうと感染しなくなるというが、どうすればそうなるのか専門家に尋ねてみたがまだ返事がこない。何れにしてもこのパンデミックというのは世界に派生する病気の戦争のような気もする。

ガウディ時代にもそのようなことがバルセロナ市内で起きた。それがペストである。そのために街が困って新たな地区を検討しなくてはならないということで拡張地区(Ensanches) がバルセロナ市城壁外に計画された。その主役となったのが都市計画家セルダの計画で、現在のようなグリット式の地区がバルセロナの街を形成するようになった。
1区画の建物ブロックのサイズは133.33m X 133.33mと20mの道路幅員となるので通常は153.33m区画となる。さらに20m幅の隅切りがありブロックの高さも20mと抑えられていたのである。だからその地区で立てられる建物は20mの高さを超えてはならない条例ができていた。ところが、19世紀末に計画された建物には基準法を無視しているブロックがあると話題になっていたところがあった。それがカサ・バトリョの地区である。当時ではその地区を「無法地区」として見られていたのである。
他にガウディによるこの地区での作品で無法者扱いされていたのはカサ・カルベ(1900年)もそうだしカサ・ミラもそうである。どれもバルセロナ市役所から勧告を受けていた作品である。
中でもサグラダ・ファミリア教会はその地区でも異例で、昨年までその建築許可なく施行せれてきた実例もある。そのため、億単位の金額が役所に支払われてようやく許可がおり、大手を振って工事を続けている。これによって周囲に公共事業としてインフラ整備がされるということなのだが、どこまでされるのかは定かではない。

私の持っている疑問は、条例と建築基準法の関係がガウディの中でどのように理解されていたのかということである。
しかもその教会の地下50mには高速列車の地下トンネルが掘られている。
こうなると将来この教会の存在すら大変な問題として、露呈されることになる。なぜなら毎日の高速列車が起こす振動をこの建物に微震として波動を伝えるわけなので、いつかはそのストレスによる亀裂が建物に及ぶことになるのではないかという心配である。先日物理の先生とそれについて話をしていたがその可能性は高いという見解であった。
では具体的なシミュレーションをして、数学的または物理的な証明が必要になるのではないのかと思えるようになった。
そのためには土質検査も必要となる。それと教会の材質と構造である。建物がたとえ従来のゴシック建築より丈夫だとしても実際には柱とボールト、さらに鐘楼や塔が18本も林立する。それらの構造体による力学的関係と素材体力と規模も計算の中に採用される。それらを含めてどのような結果を出すのか楽しみである。

     
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