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建築家トップ > バルセロナ便り > 第311回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディは地中海人

ガウディは地中海の卓越さについてベルゴスとの会話で
我々の力と美しい形の卓越性は感性と理論の均衡にある。
北の人種は感性に固執して窒息する。南の人種は色の過剰に目が眩み理屈を無視して化け物を作る。

と記している。

このカサ・バトリョのガウディによる増改築許可申請図では、屋根の形は中世時代の戦士たちヘルメットのように、中央がワインボトルの首のように立ち上がったものであった。しかもこの当時は尖塔やバルコニーの形も現在のような形ではなった。
それでは何がきっかけで現在のような屋根とファサードとなり、小塔までも添えられるようになったのか。1904年5月には地下階の改修工事申請をして同年の10月26日には全体の増改築工事許可申請図を提出している。その作図によるおよその形であった。つまり1904年の10月26日まではファサードの詳細が計画されていなかったことになる。
ではその後、どのような経緯によって現在の形が計画されたのかということなる。

1904年は、ガウディにとって成熟期でもありサグラダ・ファミリア教会、グエル公園、コロニア・グエル教会地下聖堂地下聖堂、マジョルカ大聖堂なども同時進行していた時代である。中でもサグラダ・ファミリア教会では誕生の門も施工が始まっており、1897年にはすでに受胎告知のシーンの上部に見られるゴシック・アーチの原寸模型も現場に設置されていた頃である。
また鐘楼も44mの高さまで立ち上がっていたことから、階段の段数はすでに209段は少なくとも施工されていたことになる。また鐘楼のバルコニーの星などもデザインされているしゴシック・アーチのレリーフにも12黄道の6つの星座として、右から乙女座、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座と並んでいる。
つまり星座を建築に演出している様子がここで伺える。
ガウディ建築の面白さはその中の物語性であるということを念頭にしてみると、これらの作品の理解が深まる。星座による暦は、エジプト時代からとなるがギリシャ時代にはさらに神々が増やされている。
中でもギリシャの英雄であるヘラクレスの物語は、私も小さい時から映画とか漫画で見たことがある。神話の世界は、とても広いので気には止めていなかった。ところがスペインに住み始めてイベリア半島全体にこのヘラクレスの神話が行き渡っていたことも知るようになる。
それはギリシャ時代の商業活動がこのイベリア半島にまで到達した裏付けになる。その文化の継承が随所に行き渡っているという証となる。

ということからも地中海に隣接している国としての影響を受けていることは確かである。

それにまつわる遺跡もスペイン全土にあるわけだから、その地中海文化とは何かということも理解する必要がある。
国の文化というのは周囲の国々の影響も受けながら時代をくぐってきているわけだから、それらを避けることはできない。つまり戦争と交易は相互の共生に関わることであり互いに生きるための手段でもある。

ガウディの言葉に地中海文化の話が示唆される。それは彼自身も「地中海人」という言い方をするがそれは彼の母国として愛が光って見えている。
     
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