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part1 費用編

どっちが安い、高い?
費用はいつ、誰に、どれくらい払うのか

 

■住宅メーカーでは設計料は本体価格に含まれているのがふつう

いずれにしても、建築費にこの設計・監理料が上乗せされるのですから、建築家に依頼すると高くつく――そうしたイメージが強くなるのも当然のことでしょう。
これに対して、住宅メーカーに依頼すると、工法や規模、グレードなどにもよりますが、3.3u当たりの建築費は木造住宅で50万円から、鉄骨造りで60万円から、鉄筋コンクリート造りで70万円からがひとつの目安になります。安さが売り物の住宅メーカーや工務店では、これ以下の単価を提示しているところもありますが、その場合でも施主である消費者の希望を入れたプランにすると、結局はそうそう安くはないということが多いようです。 

それでも、住宅メーカーの規格型商品を建てるときには、この建築費以外には設計料がかからないのが原則です。というより、設計料は建築費のなかに含まれているといったほうがいいかもしれません。もともと規格型の商品設計を行うときには、個別の設計コストがかからないように工夫されているといっていいでしょう。住宅メーカーの商品でも、フリープランの場合には、別途設計料がかかることがありますが、そんなケースでも建築費の1%から2%程度ですむことが多いようです。建築家に依頼するのに比べると、設計料の比重は極めて小さいわけです。

それに対して、建築家に依頼するときには10%から15%の上乗せになるのですから、やはり、「建築家に依頼すると高くつく」ということになりそうな気がします。


■建築家のなかにはローコストに力を入れているケースもある

しかし、ほんとうにそうでしょうか。考えてみると、大手の住宅メーカーはテレビなどで広告宣伝を行い、各地の住宅展示場にモデルハウスを建て、多くの営業社員などを配して販売活動を行っています。そうした広告宣伝費や人件費などが建築費に上乗せされています。大量販売によるコストダウン効果があるとはいえ、建築費そのものが決して安くないという見方もできます。

中小の工務店ではこうした広告宣伝費や人件費などはほとんどかかりません。他方、少量販売なので仕入れ値が高くなり、基本的に手作りであるために工期が長くなります。しかし、それでも、大手メーカーに比べると、建築費は安くすむことが多いようです。

一般的に建築家に設計・監理を依頼するときには、建築家と関係が深く、信頼できる中小の工務店に建築を依頼することになります。仮に、中小工務店では大手メーカーに比べて建築費が1割安くすむとすれば、そこに10%から15%程度の設計・監理料が上乗せされても、総額では大手メーカーに依頼するのとさほどの差はないということになります。

なかには、福島県、秋田県などの国産材の産地の材木店や工務店と提携、現地の材木の手配・加工から建築現場での棟上げまでを任せ、その後の仕上げだけ近隣の業者に依頼して完成させ、結果的にローコスト住宅を建てる仕組みを進めている建築家もいます。こうした建築家に依頼すれば、結果的には住宅メーカーや工務店に依頼するより安くつく可能性もあります。総予算を示して、その枠内で設計してもらうようすれば、柔軟に対応してくれる建築家が少なくないのです。
「建築家に依頼すると高くつく」という先入観を捨てて、まずは幅広く比較検討してみるのが出発点といえるのではないでしょうか。

   
 

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