part4 見積りと契約編
メーカーや工務店は契約を急かせないか
建築家に依頼すれば書類もチェックしてくれる
■建築家に依頼するときにはまず設計・監理契約を締結
住宅メーカーや工務店に依頼するときには、複数の会社に見積りを依頼して、そのなかから1社に絞り込み、詳細な見積りを出してもらった上で、建築請負契約を締結する流れになります。
これに対して、建築家に依頼するときには、その前に建築家と何度か打ち合わせてして、希望に合う設計をしてもらえそうと判断できた段階で、設計委託契約を結ぶことになります。同じ建築家に工事の監理も委託するのが一般的ですから、合わせて工事監理委託契約も締結します。設計と工事監理を別の建築家に依頼することも可能です。その場合には、それぞれ別の立場からチェックしてもらえるので安心感が高まるものの、その分両者の調整が不可欠で、時間も手間ヒマもかかることになります。信頼できる建築家を選んだら、一括して依頼するのが無難でしょう。実際に、ほとんどの人は同じ建築家に依頼しています。その際の報酬の目安については、part1でご紹介した通りです。
設計・監理委託契約がすめば、詳細な実施設計図書を作成してもらい、それをもとに工務店に見積りを打診します。複数の工務店に依頼するケースと、1社に限定して依頼するケースとがあります。1社に限定する場合には、その建築家と付き合いが深く、事情も分かっていて、予算や工期などの面でもさまざまな配慮をしてくれる可能性がありますし、複数に見積りをとれば、そのなかからより価格が安く、堅実な工事をしてくれるところを選べるメリットがあります。一概にどちらがいいとはいいきれないので、建築家とよく話し合って決めるのがいいでしょう。
■見積書は各工事内容と照合して内容をチェック
見積書に関しては、総工費だけではなく、その内訳が細かく記載されていることを確認してください。たとえば、仮設工事、基礎工事、木工事などの内訳を記入した上で、消費税を加えた総額が書き出されています。これを工事費内訳書といいます。
この工事費内訳書に書き出されている各工事に関して、それぞれどのような部材を使用して、どう施工するのかを示す内訳明細書が添付されています。その内容が、指定した内容になっているかどうかを確認しながら、その金額をチェックして、工事内訳書の金額と一致しているかどうかなどもチェックするようにしてください。また、本体以外の門扉やガレージなどは別途工事扱いになります。その点もキチンと記載されているかどうかなども重要な点です。このほか具体的には、図表1のような点をチェックしておきましょう。
なお、住宅メーカーで規格が決まっている商品の場合には、規格以外の工事に関する内容と費用がキチンと盛り込まれているかを確認しておく必要があります。
この見積書に納得できれば、いよいよ建築請負契約になります。
図表8 見積書のチェックポイント
チェック項目 |
チェック内容 |
内訳明細書 |
工事内訳書の中身を示す内訳明細書がついているか。ただし、住宅メーカーなどの規格商品の場合には、標準外工事費明細書になる |
別途工事 |
門扉、ガレージ、各種配管など屋外の工事の内容と、その費用が記載されているか |
明細書の数量と単価 |
内訳明細書の数量が図面と合致しているか。また単価はどうかも合わせて確認 |
数字 |
各項目の数字の計算が合っているか、内訳明細書ごとに確認し、工事費内訳書の合計額と照合 |
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