part6 性能表示と保証編
どこでも性能表示は可能か
保証制度はどうなっているのか
■建設住宅性能評価書交付住宅は年間でも1万戸未満にとどまる
しかし、残念ながら、性能表示制度を利用している物件は少数派にとどまっているのが現実です。国土交通省の調査によると、設計住宅性能評価書の交付を受けている一戸建ては、年間でも7500戸程度にとどまっています。耐震構造計算偽装問題の影響もあって、マンションに関しては急速に受付件数が増えていますが、一戸建てはさほど大きな変化がないようです。
住宅の属性別の設計時性能評価書の交付を受けた住宅の属性をみると、図表1にあるように全体では7割強をマンションが占め、一戸建ては3割弱にとどまっています。その一戸建ての工法別の内訳をみると、プレハブ工法が半数以上を占め、次いで木造軸組工法、2×4工法の順になっています。実際の施工数ではプレハブ工法より木造軸組工法のほうがはるかに多いのですが、木造軸組工法では性能表示を行っている住宅の割合が低いことを意味しています。プレハブ工法は全国的な住宅メーカーが中心であり、イメージ向上のためにも住宅性能表示制度に力を入れ、工務店との差別化を図ろうとするメーカーが多いことをうかがわせます。たとえば、大手プレハブメーカーのなかには、耐震等級3を標準とするなど、耐震性能の高さを住宅性能表示制度を通して強調しているところもあります。
他方、木造軸組工法は中小の工務店が多く、性能表示制度を採用するところはさほど多いとはいえないようです。それだけに工務店に依頼するときには、施主である消費者の側から、性能表示を行うように積極的に働きかけるようにしたいものです。
建築家に設計してもらうときには、性能表示を行うかどうかは建築家と話し合ってきめることになります。ただし、その場合には、実際に施工を担当する工務店が性能表示に対応できるかどうかが問題になってきます。あらかじめ性能表示が可能な工務店への発注実績がある建築家に依頼するのが安心です。具体的な設計に入る前には、その点を明確にしておくのがいいでしょう。
図表13 設計住宅性能評価書の交付を受けた住宅の属性
(建て方別)
(工法別)
(資料:国土交通省)
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